しっかり寝たはずなのに、午前中から眠い。会議中に意識が飛びそうになる。家族から「いびきが大きい」「寝ている間に呼吸が止まる」と言われた。こうした症状は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)でみられます。
SASは中年男性や肥満のある人だけの病気と思われがちですが、女性にも起こります。日本呼吸器学会は、女性では閉経後に増え、肥満がなくても小さいあごや鼻の病気などで発症すると説明しています。
この記事で分かること
- 女性で見逃されやすい睡眠時無呼吸のサイン
- いびきだけの場合と受診したい場合の違い
- 検査と治療の大まかな流れ
- 受診までにできる安全な工夫
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中に空気の通り道が狭くなり、無呼吸や低呼吸を繰り返す病気です。何度も眠りが分断されるため、睡眠時間を確保しても休息感が得られません。日中の眠気だけでなく、高血圧などの生活習慣病と関係し、居眠り運転や労働災害の原因にもなります。
女性では「いびき」以外から気づくこともある
家族と寝室が別、ひとり暮らしなどで、いびきや無呼吸を指摘される機会がない人もいます。次のような症状が重なるときは確認してみましょう。
- 起床時の頭痛、口の渇き
- 夜中に何度もトイレへ起きる
- 寝汗、途中で息苦しく目覚める
- 日中の強い眠気、集中力低下
- 気分の落ち込み、イライラ
- 血圧が高い、治療しても下がりにくい
女性では閉経前後の変化や不眠、更年期の不調と重なり、SASが見過ごされることがあります。女性の睡眠不足とホルモン変化を見直すときも、呼吸の問題を切り分ける視点が必要です。
肥満でなくても起こる理由
肥満は重要な要因ですが、それだけではありません。扁桃が大きい、鼻炎や鼻中隔弯曲で鼻が通りにくい、舌が大きい、あごが小さい・後退しているといった体の特徴でも上気道は狭くなります。飲酒や睡眠薬で喉周辺の筋肉が緩み、症状が強くなることもあります。
受診前に確認したいこと
同居人がいる場合は、いびきの大きさ、呼吸が止まる長さ、あえぐような呼吸の有無を聞きます。録音アプリは診察の参考になりますが、アプリだけで診断はできません。
眠気が強い時間帯、居眠りの有無、起床時頭痛、夜間の排尿回数、飲酒、薬、体重変化を1~2週間記録するとよいでしょう。
何科を受診する?検査はどう進む?
呼吸器内科、睡眠外来、耳鼻咽喉科が主な相談先です。鼻づまりや扁桃の問題が目立つ場合は耳鼻咽喉科が適しています。医療機関では問診の後、自宅で使う携帯型装置による簡易検査や、医療機関で睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行います。
検査では、睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数などを評価します。結果、症状、合併症を合わせて治療方針を決めます。
治療は原因と重症度に合わせる
治療には、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)、歯科で作る口腔内装置、鼻や扁桃の治療、体重管理などがあります。横向き寝が助けになる人もいますが、自己流のいびきグッズだけで重症の無呼吸を放置しないようにしましょう。
睡眠薬や鎮静作用のある薬を服用中の場合、勝手に中止せず処方医へ相談してください。
受診までの日常の工夫
- 就寝前の飲酒を避ける
- 鼻炎がある場合は医師・薬剤師に相談し治療する
- 可能なら横向きで眠る
- 一定の睡眠時間を確保する
- 眠気があるときは運転・危険作業をしない
眠気をカフェインで無理に抑え続けるのは根本的な対処になりません。仕事の運転が避けられない場合は、早めに上司や産業保健スタッフへ相談してください。
こんなときは医師に相談
- 睡眠中に呼吸が止まると指摘された
- 十分寝ても日中の眠気が強い
- 居眠り運転や仕事中の事故につながりかけた
- 起床時頭痛、夜間頻尿、高血圧がある
- 息苦しさや窒息感で目覚める
目覚めているときにも呼吸困難や胸痛がある、意識がもうろうとする場合は、通常の睡眠外来を待たず救急受診を検討してください。
家族やパートナーに確認してもらうポイント
一晩中見守ってもらう必要はありません。「いびきが急に止まり、しばらくして大きな音とともに呼吸を再開するか」「あえぐ、むせる、寝返りが多いか」を確認してもらいます。気づいた時刻とおおよその長さをメモすると、診察の参考になります。
相手から指摘するときは、「うるさい」ではなく、「呼吸が止まって心配だった」「昼間の眠気と関係するかもしれない」と健康上の観察として伝えます。本人の意思に反して睡眠中の動画を共有することは避け、記録の扱いにも配慮しましょう。
仕事と運転への影響を軽く見ない
眠気によるミスが増えたら、睡眠時間を増やすだけで解決するとは限りません。産業医や保健師がいる職場では、検査までの勤務調整を相談できます。長距離運転、夜勤、高所作業、機械操作がある人は特に、強い眠気を申告し、安全を優先してください。
よくある質問
いびきをかく人は全員SASですか?
いいえ。鼻づまりや飲酒などによる一時的ないびきもあります。ただし、無呼吸、日中の眠気、起床時頭痛などを伴う場合は検査を検討します。
痩せていれば心配ありませんか?
痩せていても、あごや舌、鼻・喉の形によって起こります。体型だけでは否定できません。
市販の口テープを使ってもよいですか?
鼻づまりがある人や無呼吸が疑われる人では安全とは限りません。まず原因を確認し、医療者へ相談してください。
まとめ
女性のSASは、いびきよりも眠気、頭痛、夜間頻尿、気分の変化として気づくことがあります。肥満でなくても否定できません。日中の安全に関わる眠気があるなら、呼吸器内科、睡眠外来、耳鼻咽喉科へ相談しましょう。
本記事は一般的な情報であり、診断や治療の代わりではありません。
参考情報
- 日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群」
- 日本呼吸器学会「夜、いびきをかく、と言われました」

