トイレのたびに尿道がしみる。出し終わるころにツンと痛む。何度も行きたくなるのに少ししか出ない。女性に多い急性膀胱炎でみられる症状ですが、発熱や背中の痛みがあれば、早めの診察が必要です。
「水をたくさん飲めば治る」「市販薬だけで様子を見ればよい」と自己判断せず、症状の組み合わせから受診のタイミングを考えましょう。
この記事で分かること
- 排尿時に痛む主な原因
- 膀胱炎と腎盂腎炎を疑うサイン
- 受診までにできること、避けたいこと
- 泌尿器科・婦人科など相談先の選び方
排尿時の痛みで多いのは急性膀胱炎
日本泌尿器科学会によると、急性膀胱炎は女性に多く、頻尿、血尿、排尿時痛が特徴です。尿道から入った細菌が膀胱で炎症を起こし、尿の終わりごろに不快な痛みが出ることがあります。
ただし、痛みがあるから必ず膀胱炎とは限りません。尿道炎、尿路結石、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群、まれに腫瘍などでも似た症状が出ます。おりものの変化や性行為後の症状がある場合は、性感染症を含めて確認が必要です。
考えられる主な原因
急性膀胱炎
排尿の終わりに痛む、尿が近い、残っている感じがする、尿が濁る、血が混じるといった症状が典型的です。尿検査で白血球や細菌などを確認し、必要に応じて抗菌薬で治療します。
腎盂腎炎
膀胱の感染が腎臓側へ広がると、高熱、寒気、強い倦怠感、脇腹から背中の痛み、吐き気などが出ることがあります。放置すると重症化する可能性があるため、速やかな受診が必要です。
尿道炎・性感染症
排尿の始めに焼けるような痛みがある、おりものが変わった、性器周辺に違和感があるときは、クラミジアや淋菌なども候補です。女性は症状が軽い場合もあるため、心当たりがあれば泌尿器科または婦人科で相談してください。パートナーを含めた検査・治療が必要になることもあります。
結石や慢性的な膀胱の痛み
波のある強い脇腹痛、吐き気、血尿は尿路結石でみられます。尿検査で細菌が見つからないのに、膀胱に尿がたまると痛み、排尿すると少し楽になる状態が続く場合は、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群なども検討されます。
受診までにできること
脱水にならない範囲で普段どおり水分をとり、尿意を長時間我慢しないようにします。下腹部を締めつける服を避け、休息をとりましょう。症状が始まった時刻、体温、尿の色・回数、痛むタイミング、おりものの変化をメモすると診察に役立ちます。
妊娠の可能性がある場合、授乳中、腎臓病がある場合は、薬を買う前に医師や薬剤師へ伝えてください。
避けたい行動
- 以前処方された抗菌薬の残りを飲む
- 痛みが引いた時点で処方薬を自己中断する
- 大量の水を無理に飲んで受診を先延ばしにする
- 発熱や背部痛があるのに市販薬だけで様子を見る
- 刺激の強い洗浄剤で陰部を繰り返し洗う
抗菌薬の種類や期間は原因によって異なります。自己流の服用は診断を難しくし、治療が不十分になるおそれがあります。
こんなときは医師に相談
当日中の受診を考えたい症状
- 排尿時痛とともに発熱、悪寒、吐き気がある
- 腰や背中、脇腹が痛む
- 肉眼で分かる血尿が続く
- 水分がとれない、ぐったりする
- 妊娠中、免疫を抑える治療中、腎臓の持病がある
意識がもうろうとする、呼吸が苦しい、急速に悪化している場合は、通常の外来を待たず救急要請を検討してください。
症状が軽くても受診したいケース
痛みが1~2日で改善しない、繰り返す、性交後に何度も起こる、排尿痛以外におりものや不正出血がある場合は診察を受けましょう。月経以外の出血が続くときの受診目安も確認できます。
何科を受診する?
排尿痛、頻尿、血尿が中心なら泌尿器科が適しています。近くにない場合は内科でも初期評価ができます。おりものの変化、外陰部の痛み、不正出血、妊娠の可能性がある場合は婦人科も選択肢です。
医療機関で伝えるとよいこと
いつから、尿の始め・途中・終わりのどこで痛むか、発熱、背部痛、血尿、頻尿、残尿感の有無を伝えます。最終月経、妊娠可能性、アレルギー、服薬、最近の抗菌薬使用、性感染症の心当たりも診断に関わります。
繰り返すときに振り返りたいこと
膀胱炎を繰り返す場合は、発症日、性交との時間関係、月経、便秘、水分摂取、治療薬と尿培養の結果を一覧にします。「冷えたから」「清潔にできていないから」と自分を責める必要はありません。再発の背景や予防法は人によって異なり、検査結果を踏まえて考えます。
排尿後は前から後ろへ拭き、通気性のよい下着を選びます。香りの強い洗浄剤や膣内洗浄を習慣にすると、粘膜への刺激になることがあります。性行為後の排尿などが勧められる場合もありますが、再発が続くなら生活習慣だけで解決しようとせず、泌尿器科へ相談してください。
検査では何を確認する?
一般には尿検査で白血球、赤血球、細菌などを確認します。繰り返す、治療に反応しにくい、妊娠中、重症化のリスクがある場合には尿培養を行い、原因菌や薬の効きやすさを調べることがあります。結石や尿路の形態が疑われるときは、超音波検査などが検討されます。
よくある質問
水をたくさん飲めば自然に治りますか?
軽い症状が一時的に和らぐことはあっても、感染の有無や重症度は判断できません。発熱や背部痛があれば、飲水だけで様子を見ないでください。
膀胱炎は人にうつりますか?
一般的な急性膀胱炎そのものは通常、人から人へ直接うつる病気ではありません。ただし、排尿痛の原因が性感染症ならパートナーへの感染が関係します。
症状がなくなれば薬をやめてよいですか?
処方された薬は医師・薬剤師の指示どおり使用してください。自己中断や増減は避けましょう。
まとめ
女性の排尿時痛では急性膀胱炎が多いものの、発熱や背中の痛みは腎盂腎炎のサインになり得ます。痛みのタイミングと一緒に起きている症状を整理し、泌尿器科や婦人科へ早めに相談してください。
本記事は一般的な情報であり、診断や治療を行うものではありません。
参考情報
- 日本泌尿器科学会「排尿痛がある、排尿時に痛い」
- 日本泌尿器科学会「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン」

